有限会社伸和工業所

50年の梁加工技術で、高品質な大型鉄骨製作を実現する

有限会社伸和工業所
大型鉄骨の梁加工を一貫対応する、Mグレード認定工場

(公開日 2025年11月16日)

日常において、こんなに大きな「鉄」と向き合ったことは、今のところ一度もない。

開かれた工場の扉の奥にどっしりと重たく並ぶ鉄骨が見えて、その脇を作業者が通り過ぎるたびにサイズを図る脳がバグってしまう。
さらに近づくとその鉄骨の本当の大きさ長さ、感覚的に分かる重さに「ほぉぇ…」とため息がこぼれて汗ばむ。

こんなに「でっかいもの」を作る仕事なのか。
ということは…ここには自分のモノサシでは測れない「仕事」があるぞ。

そんなふうにソワソワする。

拡大・拡張される技術も敷地も、すべて「お客様のため」のもの

伸和工業所さんは三重県・四日市市の楠町にある製造業の企業さま。
1973年にお父様が鋼材の構造物加工(梁加工)工場として創業されて以来、鉄骨一筋で技術・ノウハウを積み重ね、1999年(平成11年)には現社長の加藤直基さんが二代目社長に就任されました。

お父様の時代から受け継いだ「お客様のために」という想いを胸に、今もなお規模・事業ともに成長し続け、鉄骨さながら力強く、私たちの暮らしを支えています。

製造業企業さまの現場に足を踏み込むたび、非日常的なスケールに圧倒される。
その圧倒的な力によって「ものづくりの真骨頂」が技術やノウハウの蓄積であることを直感的に感じ、心が動かされてしまって、目まぐるしい。

揺れ動く私の感情を察してか「まぁまぁ、興奮しちゃいけないよ」といわんばかりに、とても落ち着いた雰囲気の加藤社長がペコっと会釈しながら「どうも」と現れた。

着慣れた作業着も胸ポケットに挿したペンも、全てがパーフェクト。「ものづくり」を支えている動じないかっこ良さがある。

実は到着した時点で、製造物の大きさに驚いたときと同じだけキョロキョロと、気になっていたことがある。

最後の角を曲がる手前あたりから、事務所建屋の周りいくつかの建物には伸和工業所さんの名前が書かれていたし、この道の逆側エリアにも、駐車場の前も奥も、動線としては繋がっているようだ。

いったい建屋がいくつあって、どこまで広いんだろう。
そんな私の疑問に加藤社長が工場配置図を広げて応えてくれる。

「この事務所建屋の、道を隔てたあちら側にちょっと古いのがあったのがあったでしょ?あれが第一工場だね」。
そんな説明を聞きながら、あそこから伸和工業所さんの1歩目が始まったのかと、瞬間的に50年前を回想する。
お父様がいる風景だ。

はっ!
回想はすぐさま、続く加藤社長の説明で引き戻される。
第一工場より大きい建物がひとつ、ふたつ…第五工場まで拡張されている!しかも製品を置くヤードと言われる敷地も同様に、第一から第三まで、事務所周辺を取り囲むように集まっていた。

50年前の風景から現風景まで、10倍速で再生しきった私の回想は「町」が「街」になるようなスピードで変わっていく。

規模の拡大となると、受注量だったり人だったり技術力だったり、あらゆるもののバランスが必要不可欠なはず。そう考えると、伸和工業所さんの今の姿は、とてつもなく大きな成長を遂げた姿なんだと分かる。

「この広さはお客様にとっても大事なんです。
製品自体のサイズが大きいというのはあるけど、量が多くても物理的に“広さ”が必要になる。加工作業をするにしても、加工したあとの置場を用意するにしても、その量が多少多いとしても、大型のご要望を受けたときに最後まで責任をもって対応できる環境を用意しておかないと迷惑がかかるなと。一棟ずつコツコツと自分達で増設したんです。安心して頼めると思ってもらえないと、お客様に申し訳ないからね。」

加藤さんがニコニコさらりと話すので、一度耳にすっと入ってきたものの、
「今なんと?」と振り返る。自分達で増設?

変わらず加藤社長がニコニコと「そうだよ?」という顔をして、この辺りはまだ途中だけどと指差す部分を見ると、驚くことにとても丁寧な仕上がり。その瞬間、「全てが丁寧な企業さんなんだ」と確信する。

現在その「お客様にとって大事な広さ」は、配置図によると敷地面積9,750㎡。
建屋面積が4,682.64㎡、ヤードだけでも4,842.75㎡と書かれている。

図面上の数字を見て「広い!」というには無責任すぎるので、「あとで探検させていただいて、広さを噛みしめたい」と申し出る。

相談に応えたくて、
目標にした「Mグレード認定工場」

「お客様に必要な広さ」という視点で分かるように、伸和工業所さんはいつもお客様のほうに向いている。だから工場を拡張すると決めて増設をしている時にはもう、「Mグレード認定工場になる」という目標も立っていたそうだ。

「僕が父から事業を継いだのが1999年で約20年前。その頃までにありがたいことに、もっと生産量を受けられる状況を作る必要があって、増設は常に動いていたんです。その中で時々、当時は受けられなかった大きいサイズの梁加工の相談をされることがあって。」

伸和工業所さんが加工しているのは、建物に必要不可欠な鉄骨の「梁」。当然だが、大きな建物にはそれだけ「大きな梁」が必要になる。
でもその「大きな梁」を安全な品質・精度で作るには、工場自体の環境や設備、技術や管理体制が整っている必要があり、さらに国土交通省の評価機関から認定を受けないと造ることができないそうだ。

「お客様からの相談にはやっぱり、「やれますよ!」とできる限りを応えてあげたい気持ちになるんです。だからあの時、次に建屋を増設するなら「大きな梁」も受けられるように増設してMグレードの認定が取れるようにしよう!という決心というか覚悟ができたのは、自分自身も嬉しかったですね。」

Mグレード認定工場と認められるのは、敷地や建屋が広いことが条件ではない。

対応できる広さがあることは必須条件の上で、工場の敷地が広くなるとそれだけ梁加工に必要な大型設備を“複数台”設置することができる。
そうすると製作可能範囲が一段と増えて規模による規定が無制限になり、対応能力に厚みが出て、横向き溶接などの難易度の高い加工もできるようになる。
合わせて、建築鉄骨の生産・供給に必要な品質管理能力や技術力も…。

全てを評価に値するまで上げなくてはならないので、目標にしたとしても、実際に達成するまでは大変だったはず。

「まぁそうですね、決心しながらも、あ~、これから大変なことが色々あるよなぁとは思ってましたね(笑)」。
そう言って当時の正直な気持ちを少し照れながら話す加藤さんの表情は、といってもコツコツと進んでいけば自分達なら大丈夫と信じていたよ、と語っているようだ。

Mグレード認定工場となり、現在伸和工業所さんが手掛ける製品の多くはホテルやマンションの高層建物に使われている物が多くなったとか。最近では駅前のビルや大学の校舎に使う梁を納品したばかりで、無事お客様にお渡しできて良かったと、その達成感からくる喜びに溢れている。

「私たちの企業規模でそういった大きな建物を扱うことができる工場は、まだ少ないと思うんです。だからこそお客様に頼りにされる存在でいたいと常々思いますし、Mグレードを取得したからこその品質は守り抜かないと、と思ってますね。」

中小企業だからと自分達に限界を定めず、いつだってお客様のほうを見て挑戦する伸和工業所の姿に、勇気が湧く。

安全なモノづくり」には、工程が多い

「そういえば今、工場に大きいのが置いてあるから見に行きます?」
嬉しいお誘いに、ぜひ見させていただきたい!と、まずは事務所に隣接している第4工場へ案内される。

大きな鋼材がずらりと並ぶ工場内では、あちらこちらで溶接の熱い火花が飛ぶ。
「丁寧で高品質なモノづくり」を実現すべく環境を整えた伸和工業所の工場には、作業を待つもの、作業を終えたもの、様々な工程、工程途中の鉄骨が綺麗に整理されている。
とにかく、びくともしない大きさで。

「工場は全部で5つ、それと出荷用ヤードが3つ。それぞれ作業によって場所が分かれていて。
ちょうど今、目の前で作業しているのがアーク溶接という方法で鋼材の溶接作業をしてますね。」

「この梁になるまでの工程は、材料と設計図を預かるところから始まります。頂いた設計図をもとに、加工用の図面を作成してチェックして、鋼材を仕入れて図面に沿って加工して…という感じかな。」

すごくざっくりした説明!

でも分かっています。
あくまでも今、目の前で「何これ何これ!?」と目を見開いてワクワクしている私に「大枠」を説明しているということを。

なぜなら別でいただいている工程表はもっと複雑で、大きく分けられた工程だけでも7段階、そのそれぞれに設計確認と下準備、加工するごとに技術者・技能者による検査や確認が入る。
もちろん加工作業の工程も段階があるし、手法の種類もケースによって異なった順で、精度を高める順番を守って進んでいく。

工場を見学させていただく間も、真剣なまなざしで鋼材に向き合う職人たちが、火花を散らしながら一つひとつ堅実に、加工を進めている。
まさに、伸和工業所の「日々鉄骨一筋」の連続。

鉄の重なる音、火花が弾ける音。
工場の空気を全身で聞きながら、時を忘れ夢中で目の前の職人技に見入っていると、次に行くよと背面でガシャンと台車が動く。

「この台車に乗っているのは、塗装が終わった鋼材ですね。工場での作業が終わったら、次の工程にスムーズに引き渡せるように自動の台車で動かせるようになってます。」と、丁寧に整列されたいくつもの大きな鉄が台車に載って動いていく。

人の手では到底持ち上げられないし運ぶことも不可能なものなので台車は当然だと言える。
しかし注目すべきは、自動で安全かつ効率的に作業工程の動線が設計されていることと、そもそも全工程を一手にお受けして完成させられること自体が、何よりもすごいことだという事実。

「鉄骨製造は設計・溶接・塗装と、それぞれ別の工場や会社に頼むことが多かったりするんです。でも関わる会社が増えるほど、手間や費用が増えたり、品質の責任が曖昧になったりしてしまいます。
そういった点でも伸和工業所は、技術もスキルもノウハウも、50年以上積み上げてきましたから。できることが多いので、皆さんの手間を減らしてあげることができるんじゃないかと思います。」

ほらね、やっぱり伸和さんはすごいんだよ、と自慢したくなる。
鉄骨工事に関わる一切を安心して任せられるんだから!と。
これが、常にお客様の要望に応えられることを目指している伸和工業所さんなんだ、と。

伸和工業所の「ヒト」、町工場の未来の形

実は加藤社長にお会いする前、すれ違ったつなぎとヘルメット姿のスタッフさんたちから、元気な声と笑顔で「こんにちは」と挨拶をいただいていました。
工場に足を踏み入れた時に再びニコっと笑顔でペコっと会釈で迎え入れてくれて、その明るい雰囲気がとてもありがたく、ついこちらからも話しかけてみたくなったのです。同時に、加藤社長の醸し出す雰囲気にも似ていて、これは間違いなく「伸和さんらしさ」なのだ、と感じました。

「従業員の約半数は海外からの研修生なんです」と加藤社長がいうように、ヘルメットで分かりづらかったものの、声を掛けてくれた人たちの中には外国人の方も居て、でも同じように笑顔で「こんにちは」と挨拶したのを覚えている。

確かに今は時代もあってか、研修生の受け入れをしている企業さま、受け入れを始めた企業さまも増えていて、真面目で勤勉と聞くことも多い。
伸和工業所さんはどうなんだろう?

「言語の壁を感じることはあります。でもそれ以上に真剣に作業に打ち込んでくれるので、仕事がスムーズに回っていく感覚がありますね。とにかく真面目な方が多くて、こちらが期待する以上の成長をしてくれることがあるので、私たちも教え甲斐があるんです。」

そんな話を伺いながらそれぞれの持ち場で働く皆さんに視線を向けると、どの方もテキパキと、それでいてモノづくりを楽しんでいる印象。中には相談なのか確認なのか、仲間に声を掛けていたり2人体制で仕事をしていたりして、団結力は強そうに見えた。

「研修生のほとんどは未経験で入ってくるんですけど、うちには長年勤めている加工の熟練社員たちがいるんで、技術や知識やノウハウを上手に、経験の浅い子たちに教えてくれていますね。しかも技術を教える段階で、この仕事が社会や暮らしの安心・安全を守る責任ある仕事だということも教えてくれているので、品質がぶれることがないんです。」

最初にお会いした時から、「お客様の要望に応え、喜んでいただきたいんだ」とまっすぐな想いを話していた加藤社長。工場内を案内していただいている時も、スタッフたちのことを話してくださる時も、常にその先に「お客様のものなんでね、やっぱり丁寧に仕上げてお渡ししないと」という言葉が出てくる。

これまでもこれからも鉄骨一筋

お客様にお届けする高品質な『伸和ブランド』の鉄骨製品は、こうして常日頃から鉄骨を前に、その先のことを考えて取り組む姿勢から生まれていました。

伸和工業所さんのしごと

伸和工業所さんは1973年創業の三重県四日市市楠町にある梁加工を行う製造業企業です。2019年には、鉄骨製作工場認定制度においてMグレード認定工場を取得し、商業施設やビル、マンション、工場などの大型建築物をはじめ、店舗や住宅、学校などの建物(鉄骨建築)に関する設計、製作、組み立て業務を担っています。
50年以上、「鉄骨一筋」で梁加工を行ってきた伸和工業所には、Mグレード認定工場としての充実した機械設備を有するほか、加工技術・知識・ノウハウに長けた熟練職人による加工、技術者・技能者による徹底した品質管理体制で、お客様に高品質な加工製品をお届けしています。

伸和工業所さんの取材を終えて

「お客様に喜んでいただける、満足していただけるモノづくり。私たちの想いは全てそこにあります。特に、私たちが作る鋼建造物は人々の安全な生活を支える、とても重要な部分を担っていますから」という加藤社長の熱い想い。強い責任感とともに終始ブレることなくお客様に向かって溢れていました。決して言葉数が多いと言えない加藤社長でしたが、その優しい照れた笑顔と、未来を見据えて大きくしてきた広い敷地の建屋群が、コツコツと日々努力を積むことこそより良いモノづくりへの近道だ、と教えてくれました。