株式会社総合産商山崎

お客さまからの信頼のため、どこまでも剥離に貪欲なチャレンジャー達

株式会社総合産商山崎
剥離に貪欲な剥がし屋

(公開日 2026年2月10日)

好奇心を爆発させて試行錯誤を楽しみながら、「剥離する」ことにとことん向き合う。そんな失敗を恐れないチャレンジャー達の集まる企業が、今回ご紹介する株式会社総合産商山崎様。
お仕事を見学させていただくために、愛知県の瀬戸市の本社を越えて少し離れた岐阜県土岐市にある曽木工場にも伺ってきました。

山あいの道を抜けたところにある広い工場には、塗料がコブのようにたっぷりとついて固まった治具から、綺麗に削ぎ落されて今か今かと出発を待つ治具まで、大きさも細さも長さもてんでばらばらだけども、という治具群が整理されている。

ビフォアー・アフターともいえるその変貌を目の当たりにし、私が想像する製造業の「ものづくり」がいかに、大きさや華やかさやといった、誰もが見て分かるような表面部分しか見ていなかったのな…、と猛省することになるのです。

初めて知る「治具剥離」という仕事内容になるほどと納得しながら、ものづくりの一角にこんなにも現場の救世主ともいえる仕事を担う領域があるのか!と、製造業の連携力の強さ、層の厚さに驚かされた現場でした。

総合産商山崎さんが徹底して責任を全うしている「ものづくりを支えるものづくり」。
機械が安全に稼働するために、製品が精度を落とすことなく安定して製造されるために、小さな塗装治具の1つからでも塗装を「剥離」する技術者たちのお話です。

逆風の中で立ち上げた剥離事業

今では当たり前となった物や考え方におけるリサイクル。
総合産商山崎さんが行っている「剥離」はつまり、製造業の現場における道具のリサイクルと言える。

だが山崎代表は「先代が事業を始めた30年以上前、リサイクルはメジャーな考え方ではなかったんですよね」と言う。そうなの?と調べてみると確かに、現代的な法制度としての「リサイクル」は1990年代後半から本格化したようだ。

どこよりも早くリサイクルの考え方に目をつけて、試行錯誤しながら独自の技術を生み出した先代だったが、実際の世の中はまだまだ。
リサイクルの「リ」の字も浮かんでいなければ、今ではよく聞く「剥離」なんていう業種もなかった。

「当時僕は営業として総合産商山崎で働いていたので、色々な人に剥離事業を案内して回っていたんですけど、ほんと、誰にも理解されなかったですね」と笑う山崎さん。
周りからは理解されるどころか、冷たい言葉もあったそうだ。

そもそも新しいことを始めるにあたっては絶対的に、最初の「ゼロ」を「イチ」にすること自体が大変なはず。それなのに総合産商山崎さんの場合はゼロどころか、マイナスからのスタートだったことになる。

でも今、曽木工場に立つ私の目の前にあるのは、たくさんの方々から頼りにされていると分かる風景が広がっていて、マイナススタートだった過去のことなど微塵も感じられない。
だからこそより印象的に、実力と誠意で証明してきた「今」を感じることができた。

「剥離は総合産商で間違いない」という誉め言葉が忘れられない

工場の中、フォークリフトが行き交うのを避けながら、総合産商山崎さんのお仕事について詳しく聞いていく。

「例えば自動車部品や建築資材などの塗装工程は、製品を吊り下げて塗装をするんですが、その吊り下げるためのハンガーやフック、他にも固定する器具(治具)があって。使っていると治具にも塗料が付着するので、それを独自の方法で綺麗に剥がしていきます」

なるほど、塗料を吹き付ける工程はテレビなどで見たことがある。しかもその工程は1度きりではなく、次の製品が流れてきてまた吹き付けられていた。
そうやって繰り返されるたびに治具やハンガーには塗料が塗り重なって、こんなふうにゴチゴチに…とビフォアー状態を触らせていただく。

「独自の方法」で綺麗になったアフター状態も拝見し、納得の出来栄えを確認。これならまたいつもと同じように使っても問題ないくらい、元通りになっている。
※剥離方法は企業秘密のため割愛させていただくこととする。

他にも、塗装に失敗した不良品やもう一度塗り直しが必要な製品を再利用するために剥離再生することもあるそうで、「廃棄しないということは資源を有効活用するということ。環境にも配慮できるし、コストも抑えられるんですよ」と山崎さん。
イイコトづくしのリサイクル精神だ。

僕らはすごく、剥がすことに貪欲

「繰り返し使われる物だからこそ、できるだけ長く使えるように、一つひとつの治具と向き合ってます」と穏やかに話す山崎さんだが、任せなさい!という自信も溢れていて、とても信頼できる。

「信頼して任せて欲しいですね。
先代からもお客さまの信用は絶対と受け継いでいますから(笑)。
そういえば昔、剥離は総合産商山崎に出したら間違いないと言ってくださったお客さまがいて。忘れられない誉め言葉ですね。剥離屋冥利に尽きます。」

お客さまの「こういうのできない?」が、僕らにとってはやりがい

総合産商山崎さんの歴史を紐解くと、剥離事業を始める前は砂利・砂採取を行う建材屋さんだった。そこからなぜ、剥離の道が広がっていったのか聞いてみた。

「建材屋時代のお客さまとの何気ない会話の中で、塗装網やハンガーに付着した塗料の除去ができたらいいのになぁ~、という話をしたのがきっかけですね。そこから剥離再生のチャレンジが始まったんです」

全く違う事業を始めるきっかけもお客さまのご要望だったとは。「こういうのが欲しい、こういうのできない?」と言われることがやりがいなんだよ、と話していた山崎さんらしさがある。

加えて、「総合産商山崎という社名の由来も、お客さまの要望に応えて社会に貢献する「何でも屋」になろう!という想いから付けた」というのだから、全力で要望に応える企業であることは間違いない。

「こういうのできないかな、を拾って事業が増えていって。今は塗装剥離、不良品剥離再生、クロカワ剥離、あとはサビ落としやフィルター清掃、樹脂ゴムマスキング剥離も対応できるように力をつけましたね(笑)。
全てがお客さまの要望から始まったものばかりなので、皆さんには感謝しかありません」

総合産商山崎さんのお客さまの業界はさまざまだ。自動車関係、住宅関係、電気・電子関係など、塗装を必要とする全ての業種におよぶ。
ものづくりの過程で生じる困り事に、アイデアやノウハウ、そして結果で応えてきたからこそ、信頼が広がっていったのだろう。

とにかく僕らは、「剥がす」ということに貪欲

私たちの生活において「剥がす」を意識する時と言えば、製品に貼られたシールを「綺麗に剥がしたい…!」という時くらいしかないが、剥がし屋は違った。雑談をしていても、「あれってこうやって剥がせるんじゃない?」とすぐに、剥がし方談義になるそうだ。

「この商売をやってるからね、僕らはすごく剥がすことに貪欲で、いつもこういうことできるんじゃない?って話になって、すぐにチャレンジしてみるんですよ」と、活き活きと話す。

しかも、「ものになってないことの方が多いけどね!」と最後に付け加えて笑う様も、失敗こそ勲章!と言っているようで、「いつ何時も挑戦できる仕事」としてすべてを楽しんでいるように見えて、羨ましい感覚も芽生える。

お客さまの製品を預かる意味と責任

撮影をしていて改めて気づいたことがある。
それは、本当にお客さまの製品を大切に「守っている」ということだ。

そう思えるのには理由もある。
工場内にあるさまざまな種類の治具ひとつひとつに、「これはお客さまの貴重な資産だから映らないようにしてね」「この部分は絶対出さないでね」と細かいチェックが入る。
それも、ほぼすべての治具に、だ。

実は、総合産商山崎さんは山崎代表の娘さん、息子さんも一緒に働いていて、彼女たちにも治具について説明を求めるシーンもあった。でも決まってお父様と同じように、「ここはちょっと分かってしまうかもしれないから避けて欲しい」としっかりチェックを入れてくれる。

製品を預かり、最後まで壊すことなく丁寧に取扱い、綺麗にしてお返しする、
だけじゃない。

製品の些細な曲線も折れた角度も何もかもが、お客さまである企業が知識と知恵を集結させてたどり着いた設計。すなわち「資産」であり「価値」であり「秘伝」だということを真正面から受け取り、委託される側の責任として品質を突き詰めることと同じだけ「門外不出」、お客さまの大切な情報が洩れないように守っている。

「そうなんです。綺麗にすることも、リサイクルで次の製品づくりに支障がないように仕上げるのも、特別な仕様を守ることも、どれもが僕たちの責任です」

先代の教えは「お客さまの信頼は絶対」。
先代から現在、そして次を継ぐ人たちにもその教えが受け継がれている。

総合産商山崎さんのしごと

総合産商山崎さんの仕事は、自動車などの量産工場で使われるハンガーや塗装用治具、塗装不良品などから塗料を丁寧に剥がし、もう一度現場で使用できる状態に戻していくことです。使えるものはきちんと手入れしながら長く使う。そうすることで現場のコストを抑えると同時に、限りある資源を無駄にしないという考え方が、仕事の根底にあります。 愛知県瀬戸市に本社を構え、塗装剥離・治具剥離・クロカワ剥離など、製造業の中でも目立たないかもしれないが欠かせない領域に特化してきた。工場では、入荷した治具や塗装不良品の状態を一つひとつ見極めながら、最適な方法で塗料やサビを取り除きます。製造現場の品質と生産性を陰から支え、同時に環境負荷を減らすことに貢献している仕事。それが、総合産商山崎の仕事の特徴であり、大切にしている想いでもあります。

総合産商山崎さんの取材を終えて

いくつもの発見があった取材でした。例えば「ものづくり」。
これを作っている、これはあれのこの部分を作っている、それを作るためにこれがある。このあたりまでは今までお話を聞かせていただいた製造業に携わる方々に教えてもらって理解してきた。
そして今日新たに、それを作るためにある部品を再利用するための仕事に出会った。
こうして何度も「ものづくり」に携わる方々や現場や仕事に驚かされます。領域の多さもさることながら、そのそれぞれにノウハウや知恵が必ず存在していて、助け合っているということに。
総合産商山崎さんは言っていました。「仕事は過酷。昔よりは改良されたけど想像以上の埃が出るし汚れるし。洗えば取れるけど、そこだけが大変なだけだよ」と。
少し感動する自分がいました。自分の全身で汚れを受け止めてお客さまの製品を綺麗にする仕事って、「ために」の心が熱いという証明だなって。