有限会社村田商行

地域の毎日を洗う、清潔にまっすぐな、買い物カゴ洗浄専門業者

有限会社村田商行
買い物カゴ洗浄の専門業者

(公開日 2025年10月27日)

皆さんはスーパーの「買い物カゴ」を洗浄する専門業者があることを、ご存じでしょうか?

今回ご紹介する企業さまにお会いしてからというもの、私の日常生活のワンシーンにおいて必ず、「このカゴは清潔なのかな?」と、疑問が浮かぶようになりました。
それほど、出会った瞬間に衝撃を受けたことを覚えています。

ご訪問したのは、スーパーの買い物カゴを洗浄する専門業者、愛知県春日井市にある有限会社村田商行さま。
この「買い物カゴ洗浄」というお仕事はざっと調べる限り全国でも数件程しかなく、なかなかお会いできない業種。
最初に聞いたときからとても興味深く、お会いするのが楽しみでした。

小人数ながらも大手スーパーで利用されている買い物カゴを一つずつ丁寧に洗う、全力で暮らしの安心安全を願う彼らの仕事をぜひ、みなさんに知ってもらえたらと思います。

50年前に見つけた、カゴ洗浄で地域を守る使命

「清潔」ということにおいて避けて通れないのが、数年前に突如襲ってきた新型コロナウイルスの蔓延によるパンデミック。今となってはすっかり落ち着いたものの、あの頃は見えるものも見えないものも関係なく、全てに恐れるばかりの長い時間が流れたことを、記憶が薄れたとしても忘れることはないはず。

「あのとき僕は、本当に必死の想いで、綺麗に消毒してあるから安心して!と言いたかった」

そんなふうに表現する村田商行の村田社長の真っすぐに熱のこもった想いを伺いながら、今回初めて「カゴ洗浄専門業者」という存在に出会えた驚きと嬉しさに反して、知らなかったという申し訳なさも抱く。

考えれば基本的なことで、納得の仕事。なのに、誰に聞いても「初めて聞いた!そんな仕事(会社)があるの!?」と言われる。これまでさまざまな企業さまにお会いしてきた中でも、最上級にニッチなお仕事。
こうなると、この業界にどのようにたどり着いたのかも気になってくるところ。

「もう40年くらい前になるのかな。元々は初代でもある父が印刷業をしていたんです。
息子の僕が言うのもあれですが、彼は常に広い視野でアンテナを張っている人で。
当時、印刷業から他事業への展開を模索していたんでしょうね。ちょうどその頃に経済新聞で「スーパーカゴの洗浄」をしている福岡の企業さんを発見して、「これだ!」って。
その足ですぐに福岡へ出向いてノウハウを受け継いで帰ってきて、自社で事業展開したのが始まりです。」

まさに「先見の明」であり、「電光石火」だ。

先代が40年、50年後に起こるコロナのことを予測していたかもしれない!?という物語はなくていい。
それよりも、自分のアンテナに届く様々な物事の中から「これだ!」と選択し信じるということが神々しい。
その時すでに、同時に「未来の安全を守る!」という使命も抱いていたのではないかと想像すると、その足ですぐに福岡へ向かって行った先代の気持ちが分かるような気がしてくる。

きっと、居ても立っても居られない、という感覚だったのだろう。

工程はシンプル。
でもノウハウが詰まっている

全国的にも珍しいこの事業について、工場にある大きな設備を見ると「洗う」の奥に何があるのか、知りたくなる。

「工程はシンプルですよ(笑)。洗剤で汚れを浮かして、熱湯で洗い流して、乾かしていくんです。」と村田社長が笑うので、奥の方で着々と作業を進めている従業員さんの動きに目をやる。

説明どおり、買い物カゴを一つずつチェックしてベルトコンベアーに乗せ、出口で受け取りチェックして、次々と重ねていくというシンプルな動きが行われている。

なるほど。…いやいや、これはあくまでも「流れ」を見ているに過ぎない。
でなければ、村田社長が浮かべた「笑み」に値する理由が見つからない!

村田社長に「もうちょっと近づいて見てきていいですか?」と許可を得て覗きに行くと、「流れ」の中に、厳しいチェックと手間が現れる。
なんと、汚れの種類・状態よって、ヘラ・スポンジ・布をひっきりなしに持ち替えて、付着したものをふき取っている。

まさに、「一つずつ、丁寧に」な作業。

「そうなんです。同じように見えて、一つずつ汚れ方が違うんですよね。
彼女たちがチェックしているのは、大きく分けて2つのポイントかな。形状的にどうしても汚れやすくなる部分と、個体ごとに汚れてしまっている部分。それらを見逃さないようにチェックして取り除いて、ベルトコンベアーに乗せて次の工程へ送り出しているんです。」

その「次の工程」となるベルトコンベアーが通る部分は、これまでの手作業とは異なる「設備感」が増していく。

「ここは開けて見せてあげれないけど、中では2つの工程が動いています。ちゃんと「綺麗にする」ということと、しっかり「殺菌する」という段階ですね。」

中で行われているのは、60°Cに温めた特殊な洗剤でしっかり汚れを落とし、熱湯で一気に洗い流して乾燥する、という工程。

これ自体もとてもシンプルな工程ではあるものの、「汚れも色々、菌も色々なんで、一番効果が出る洗い方を模索しましたね。」と村田社長が言うように、最も汚れが落ちやすいとされる温度で、製品の耐性を考えた熱湯を用いて、殺菌しながら綺麗な状態へと仕上げていく。

「熱湯で消毒」という部分を切り取ってしまえばとっても原始的な方法に見えるし、実際そうとも言える工程を眺めながら、そのシンプルさの裏で思いのほか、洋服を洗うのと同じくらい繊細な判断がされているんだと、ようやく「本気で清潔にするために」の答えが見えてきた気がして、私は知り切った顔になっていた。

カゴ一つひとつに想いを込めて

村田社長が背後の壁を指差して、「村田商行の一番の特徴で強みは、コレですけどね」と言われるまでは。

一度に最大1,300個を浸け置ける、大きな大きな水槽

「これはカゴを浸けておく水槽で、サイズ感でいうと他社さんの3倍くらいの大きさはあると思います。一度に最大1,300個は浸け置きできるかな。」

爪先立ちでギリギリ中が見れるかな?という高さの壁を覗き込んだら、たっぷりの液体を張った「水槽」だった!!

「回収してきた段階で汚れがひどいカゴは、いつもの工程の前に洗剤の入った水槽にこうやって浸け込んでおくんです。
ここでも汚れの具合によって浸け込む時間を分けていますが、こうしておくと汚れの元からしっかり取り除けるようになるんですよね。」

これならもう、何も心配しなくていい!
そんな私の絶対的な信頼が村田商行さんに寄せられた時、村田社長が最初に言った言葉も思い出した。

「あのとき僕は、本当に必死の想いで、綺麗に消毒してあるから安心して!と言いたかった」

この仕事の丁寧さが、あの言葉の根拠だ。

大手スーパーと40年以上続くお取引は、何よりも信頼の証

丁寧な仕事で「綺麗」と「清潔」を提供する村田商行さんは、訪問してみると決して大きな敷地や今風な工場の企業規模ではなかった。しかし、村田社長にお取引先について伺うと、愛知県を中心に展開する大手スーパー様のお名前が次々と挙がる。

さらに驚いたのは、「長いお付き合いのお客様だと30年、40年、もうちょっと長くお取引させていただいているかな」という事実。

目の前で見せてくれた丁寧さと、仕上がっていく綺麗さを見る限り、「村田商行さんに任せておけば間違いない」とお取引先様全員が言うだろう。
そのくらい信頼されていることは疑う余地のないものだった。

「もちろん、お客様にも色々ご協力いただいています。例えば、回収の時間までに決まった場所にカゴを集めてもらっていたり、スーパーの準備中に店内に入らせてもらって集めて回るのを許可いただいていたり。
スーパーの開店準備などで忙しくされている時間はできるだけ避けますが、いずれにしても、カゴ回収や納品時にわざわざ担当や指示をいただかなくてもこちらで対応しきれるようにしてもらっています。」

連携は、お客様にご協力いただくだけではない。
対応範囲を愛知・岐阜を中心にすることで、村田商行さんの小回りの利く独自の回収・納品ルート計画が活かされる。できるだけ保有カゴ数を最小限に抑えて効率よく回ることで、トラブルの回避や運搬費削減による安定した価格提供に努めているそうだ。

「清潔」にまっすぐ、数値で示す挑戦

改めて、日常の中で当たり前に存在する「買い物カゴ」を手に取るシーンを思い浮かべる。
私が明日手にするカゴは、どれだけ綺麗なのだろう、もしくは、どれだけ汚れているのだろう。

「1カ月洗っていないカゴの洗浄前・後で、それぞれの数値を図ってみましょうか。」と突然村田社長が検証を始める。

まず洗浄前。出た数値は「57502RLU」。
次は洗浄後。出た数値は「9947RLU」。
※RLU=Relative Light Unit(汚れの単位)

「5倍以上汚れている、または、1/5まで綺麗になった、ということが分かりますね。
つまり、仮に1カ月洗わなければ5倍以上もの菌やウイルスが付着しているということになります。」

見えない菌・ウィルスの脅威である。

続けて村田社長が「1カ月で5倍。もしこれを洗浄できなかった、しなくていいやで、2ヶ月、3か月と、使い続けたとしたら…?」と尋ねてきた。

想像の中でも形を成さないその菌が、目に見えないままみるみるうちに増殖の一途をたどり、止まる気配はない。「どうしましょう!」という絶望感で村田社長のほうを見る。

「僕らもコロナの時に考えたんです。やっぱり見えないことが不安で、怖いじゃないですか。
なので村田商行では「清潔の見える化」をして、お客様に安心をお届けするオプションサービスを用意したんです。」

村田商行さんの新しい取り組みはまだまだ始まったばかりだそうだが、まさにこれが、50年前に初代が使命として掲げていたであろう「カゴ洗浄で地域を守る」ということかもしれない。

「見えないものの見える化」によって、私をはじめとするカゴを手にする生活者たちが安心できるのは間違いないこと。

シンプルな仕事だからこそ、その大切さがまっすぐ伝わってきた。

村田商行さんのしごと

愛知県春日井市の村田商行さんは、お父様から買い物カゴ洗浄のノウハウを受け継ぎ、地域の安心な暮らしを守っている買い物カゴ洗浄専門業者です。40年以上もの間、今もなお複数社の大手スーパーさまとのお取引が継続していることは、村田商行さんの品質・対応の良さを物語っています。
「綺麗に洗浄する」と言えば簡単そうですが、汚れ具合が酷ければ水槽での浸け置きを行い、さらには洗浄メーカーが研究した「最も汚れが落ちる温度=60°C」を基準に、特殊洗剤もそのあと流し洗いをするお湯も60℃で丁寧な処理を行います。最後の仕上げにおいては100℃に達した熱風を送り、徹底的に「殺菌・乾燥」。清潔にするために、何段階もの手間をかけて仕上げていくカゴ洗浄業者さんです。

村田商行さんの取材を終えて

村田商行さんで見た風景は、見慣れた、使い慣れたあの買い物カゴが汚れをまとって入口に並び、お風呂上りのようにスッキリした買い物カゴが出口から顔を出す、というものでした。その風景を見ながら、今日の仕事終わりにスーパーに寄って手に取るカゴが、村田商行さんの工場入口に並んでいるものに近いののか、納品口にあるものに近いのか、という想像もしました。
きっと、誰に聞いても後者(綺麗になったもの)と答えるそれこそが、この仕事の必要性を証明していると思いました。
優し気な雰囲気をまとった村田社長ですが、お話するとカゴ洗浄の真理にこちらがのめり込んでしまうほど、お父様からのバトンを大切に継ぎ、暮らしを守っているヒーローでした。